快速に有料座席 大和路線・おおさか東線に導入 既存車両20席を指定席「うれシート」に

JR西日本は大和路線とおおさか東線の快速列車で、既存車両の座席を活用した新たな有料座席サービス「快速 うれシート」を2023年10月23日(月)に導入します。

大和路線・おおさか東線などで運行しているJR西日本221系電車(s**m/写真AC)
大和路線・おおさか東線などで運行しているJR西日本221系電車(s**m/写真AC)

対象は平日朝の「区間快速」「直通快速」計4本

対象となるのは、平日朝の通勤・通学時間帯に運転している計4本の快速列車です。いずれも転換クロスシートの221系車両を使用する列車で、8両編成のうち最後部1号車の後ろ寄りが有料エリアに設定され、20席が指定席として発売されます。サービス設定中は有料エリアとの境目に「のれん」が設置され、指定席券を持っていないと立席でも利用できないことを識別できる工夫が施されます。

乗車券のほかに必要な指定席券の料金は全区間一律の通常期530円、閑散期330円で、乗車日の1か月前から当日まで購入可能です。最安の乗車方法として、通年300円で購入できる「チケットレス指定席券」がJR西日本ネット予約「e5489」限定で発売されます。

サービス名称の「快速 うれシート」は、通勤・通学やお出かけが座って快適になる、うれしい座席サービスであることを表しています。プラス300円から利用でき“安くてうれしい”、チケットレスの利用により“スムーズでうれしい”の意味も込められているそうです。

大和路線では、平日の区間快速列車のうち加茂駅6:29発に「Q区間快速1号」、7:29発には「Q区間快速3号」の列車名がそれぞれ付与されます。2列車は加茂駅〜天王寺駅間のみ「うれシート」が設定され、天王寺駅以遠の大阪環状線内ではサービスの設定はありません。指定席券をお持ちならそのまま大阪駅方面へ座り続けることができますが、離席した際などに座席の確保は保証されません。

大和路線からおおさか東線に入る平日朝の直通快速列車では、4本のうちピーク時の2本に「うれシート」が設定されます。列車名は奈良駅7:06発が「F直通快速51号」、7:30発が「F直通快速53号」で、いずれも終点の大阪駅まで全区間で一部指定席として運行します。

(大和路線・おおさか東線「快速 うれシート」対象列車の運転時刻、指定席の座席表など詳細は下の図表を参照)

【時刻表で解説】大和路線・おおさか東線「快速 うれシート」対象列車の運転時刻、指定席の座席表

「関空特快ウイング」と「新快速Aシート」のいいとこ取り!?

ところで、20席の有料座席の内訳は、最前列の5番から1番までの5列分で、それぞれ窓側がA・D、通路側がB・Cとなっています。そして、221系の座席の構造上、5番席は必ず進行方向と逆向きに固定されます。2〜4番席も向きを逆に転換することは可能ですが、通常は4番と5番が対面席にあたるので、足を伸ばしてゆったり乗車したい場合は1〜3番の12席が狙い目となります。

JR西日本は特急列車以外の有料座席サービスとして、琵琶湖線・JR京都・神戸線で「新快速 Aシート」を2019年3月から実施しています。新快速列車にテーブル付きリクライニング座席を備えた指定席車両を1両連結して運行しており、専用車両の新造、対象列車の拡大など順調にサービス展開しています。

転換クロスシート車両の指定席といえば、1995年(平成7年)に運行を開始した「関空特快ウイング」の223系に1両設定されていました。必ず座れる空港アクセス列車としてデビューするものの、事前に窓口で指定席券を購入するという当時の手間が受け入れられず、指定席の利用率は低空飛行を続けました。結局、指定席はわずか4年で廃止、「関空快速」への種別統合という末路をたどります。

今回の「うれシート」には、車掌が検札しやすい最後部車両を指定席に設定するという、「ウイング」で実践した手法が織り込まれています。そこへ「Aシート」で実績のある「安くてスムーズ」なチケットレス商品を横展開することで事前予約のハードルを下げ、よりカジュアルに利用できる着席サービスに仕立てられています。

ここからは筆者の考察ですが、既存車両の座席をそのまま使用する「うれシート」は設備投資が抑えられることから、対象列車の追加や変更の柔軟性は高いと思われます。好評ならば、221系をはじめとする転換クロスシート車両を運用しているほかの線区への拡大もあるかも知れません。

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